模倣行動と他者の欲望の模倣

ということで,幼児の模倣行動と模倣能力の強さについてしみじみと考えるわけであるが,ここで思い出すのは,岸田秀の「人間はその本能が壊れた生き物であり,(本能を補うために),他者の欲望を模倣する」という話である.もしくはジラルの欲望模倣論(というのかなんなのかはよくは知らない)もそんなものなのだろうか,と原著(どころか訳書も)を読んでいないが,勝手に納得するのであった.

このような観察から推論すると,最大の教育というのは何かを上手に教えてくれる先生によってなされるというよりは,「健全な」向上心を持った心の師みたいなものを見ることによって自ら何らかの欲望が創発することによりなされるのかもしれない.と,いまさら当たり前ながらの結論に達するのでした.メンターとかいうのもそういうもんですよね.